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福島地方裁判所 昭和45年(わ)10号 判決

本店所在地

福島県郡山市石淵町三番一一号

商号

株式会社 宍戸組

代表者氏名

代表取締役 宍戸俊三

本籍

福島県郡山市石淵町八〇番地

住居

同県同市同町一一番一八号

会社員(元株式会社宍戸組社員)

宍戸三郎

昭和一五年三月一〇日生

右株式会社宍戸組および宍戸三郎に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。

公判出席検察官 長谷川三千男

主文

被告人株式会社宍戸組を罰金二〇〇万円に、

被告人宍戸三郎を懲役六月に処する。

但し、被告人宍戸三郎に対し、この裁判確定の日から二

年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社宍戸組は、福島県郡山市石淵町三番一一号に本店を置き、泉郷、岩根、安子ヶ島に事務所を設けて、砂利採取業を営んでいる資本金一〇〇万円の株式会社であり、被告人宍戸三郎は、右会社の経理責任者として会社業務に従事するとともに会社経営に参加していたものであるが、被告人会社の業務に関し、法人税を免がれる目的をもつて、未払経費を架空計上し、等地の取得を仕入として仮装経理し、または売上の一部を除外するなどの不正な方法により、その所得の一部を秘匿し、

第一、昭和四一年四月一日から同四二年三月三一日までの事業発度における被告人会社の実際の所得金額は一二、四六五、八七六円で、これに対する法人税額は、三、八二一、六〇〇円であるのにかかわらず昭和四二年五月三一日所轄郡山税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は六、五〇七、〇五五円で、これに対する法人税額は一、七六二、七七〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出しもつて同会社の当該事業年度の正規の法人税額三、八二一、六〇〇円との差額二、〇五八、八〇〇円をほ脱し

第二、昭和四二年四月一日から同四三年三月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額は二四、四一四、五一九円で、これに対する法人税額は七、九〇三、三〇〇円であるにかかわらず、昭和四三年五月三〇日所轄郡山税務署長に対し、当該事業年度の所得金額は八、三八〇、六一五円で、これに対する法人税額は二、三二六、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書に提出し、もつて同会社の当該事業年度の正規の法人税額七、九〇三、三〇〇円との差額五、五七六、七〇〇円をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

右判示各事実は

一、被告人宍戸三郎の当公判廷における供述

一、同被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書八通および検察官に対する供述調査三通

一、同被告人作成の上申書一通および法人税修正確定申告書謄本二通

一、須崎正之の大蔵事務官に対する質問てん末書および検察官に対する供述調書各一通

一、本多イネヨの大蔵事務官に対する質問てん末書および検察官に対する供述書各一通

一、大蔵事務官千葉秀夫作成の売上脱漏額調査書

一、榊原博作成の上申書

一、大蔵事務官菅谷啓造作成の脱税額計算書二通および未納事業税額計算書二通

一、登記官作成の登記簿謄本

一、押収にかかる法人税確定申告書二綴(昭和四五年押第二二号の一ないし二)、日新運輸株式会社間の契約書一通(同号の三の一)、日新運輸株式会社作成の念書一通(同号の三の二)、総勘定元帳二綴(同号の四ないし五)、機械割賦売買ならびに使用貸借契約書一通(同号の七の一)、機械割賦売買契約書一通(同号の七の二)

を総合してそれぞれこれを認める。

(法令の適用)

被告人株式会社宍戸組の判示第一、第二の各所為は法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項に該当するが、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人株式会社宍戸組を罰金二〇〇万円に処し、被告人宍戸三郎の判示第一、第二の各所為は法人税法第一五九条第一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役六月に処しなお諸般の情状に鑑み同法第二五条第一項を適用して、同被告人に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 金末和雄 裁判官 関口亨 裁判官 石井彦寿)

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